Tax Circular3
●暗号資産と相続と税金
(問)私は多額の暗号資産を保有しています。私が亡くなり、暗号資産が相続され、そのあと売却したら、税金が100%かかかるという話を聞きました。本当でしょうか?
(答)
近年、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を保有する方が増えています。それに伴い、「相続した暗号資産を売却すると、税金でほとんど持っていかれるのでは?」という不安の声も多く聞かれます。中には「100%以上税金がかかる」という話もありますが、これは決して誇張とは言い切れません。実際の税制上、特定の条件が重なると税負担が売却益を超える=100%を超えることがあり得るのです。その仕組みと注意点をわかりやすく解説します。
1.相続時の税金:相続税(最大55%)
暗号資産を相続すると、その時点の市場価格(時価)をもとに相続税が課されます。相続税は財産全体に対して課税され、税率は最大55%。相続人の人数や基礎控除の有無によっても変動しますが、時価が高騰している暗号資産は高額評価されがちです。
2.売却時の税金:雑所得として総合課税(最大55%超)
相続後に暗号資産を売却すると、その売却益は雑所得として課税されます。これは株式や不動産とは異なり、総合課税の対象です。つまり、その年の他の所得と合算され、所得税(5〜45%)+住民税(10%)+復興特別所得税(所得税に対して2.1%)が課されます。所得が高ければ、実質55%超の課税が発生することになります。
3.「取得価額」に要注意:相続時ではなく、被相続人の購入時の価格
ここで重要なのが、「取得価額」です。相続人が売却益を計算する際、取得価額は「相続時の時価」ではなく、被相続人が購入した時の価格を引き継ぐのが原則です。
例えば:
o被相続人が10万円で購入したビットコイン
o相続時の時価が1000万円
o売却価格も1000万円の場合
相続人の売却益は 990万円(=1000万円マイナス10万円) となり、これに雑所得として最高税率が課されます。
4.税金が100%を超えるケースも
上記の例で、相続時に1000万円分のビットコインを相続し、相続税55%(約550万円)が発生。さらに売却益990万円に対して、所得税・住民税合計で約55%(約545万円)が課税されると、合計税額は約1095万円となります。
つまり、売却額(1000万円)を超える税金が発生し、実効税率109.5%。
これが「暗号資産を相続して売却すると100%超の税金がかかる」という話の根拠です。
もちろんこれは極端なケースではありますが、相続財産の中でも暗号資産は特に取得価額と評価額の差が大きくなりやすく、リスクが顕著です。
5.対策と注意点
このようなリスクを回避・軽減するためには、以下のような対策が有効です:
o被相続人の暗号資産取得履歴(購入価格、取得日など)を明確に記録する
o生前贈与や信託などの相続税対策を検討する
o相続後すぐに売却せず、市場や税制を見ながらタイミングを計る
o専門の税理士と相談し、事前にシミュレーションする
6.まとめ
暗号資産を相続して売却する場合、「相続税」と「所得税・住民税」の二重課税によって、場合によっては税負担が100%を超えるという深刻なケースも現実に起こり得ます。相続税対策と所得税対策の両面から早めに準備することが重要です。暗号資産を保有されている方、または相続人になる可能性のある方は、税の専門家と連携しながら、適切な対応を講じましょう。