朝貝公認会計士事務所

1.障害者と相続税

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1.障害者と相続税

Tax Circular1

●障害者と相続税

(問)私は老齢の父ですが、息子が障害者で、私の亡くなった後のことがとても心配です。私の財産について、できる限り税金がかからない形で息子に相続させたいと考えています。何か良い方法はあるでしょうか?

(答)

 主に以下の2つの方法があります。

障害者控除(相続税の軽減措置)

特定障害者に対する贈与税の非課税措置(特定贈与信託)

(1)障害者控除

(ア) 障害者控除とは

相続時に85歳未満の障害者が財産を取得した場合に、相続税から一定額を控除できる制度です。対象は相続人が障害者である場合であり、障害者の生活を支えるため、相続税の負担を軽減する目的で設けられています。

(イ) 適用条件(以下の4つをすべて満たす必要があります)

法定相続人であること(配偶者や血族など)

相続または遺贈によって財産を取得していること

障害者であること(所定の障害等級などの基準に該当)

相続開始時に日本国内に住所があること

(ウ) 障害の区分と控除額の計算

一般障害者:10万円 ×(85歳 ? 相続時の障害者の年齢)

特別障害者:20万円 ×(85歳 ? 相続時の障害者の年齢)

※年齢は月単位で計算し、1年未満の端数は切り上げて計算します。

※控除額が相続税より多い場合、その差額は扶養義務者の相続税額から控除することができます。

(エ) 控除が相続税より多い場合の対応

相続人である障害者本人の相続税から引ききれなかった控除額は、扶養義務者(配偶者、親族など)の相続税額から控除できます。これにより、他の相続人の税負担も軽減される可能性があります。

(オ) 2回目以降の相続でも利用可能

障害者控除は、複数回の相続で利用可能です。ただし、前回の控除額や年数の経過などにより、2回目以降の控除額は少なくなる場合があります。

(2)特定障害者に対する贈与税の非課税(特定贈与信託)

(ア) 制度の概要

特定贈与信託を活用すると、障害者に対する贈与が贈与税の非課税対象となります。

 この制度は、障害者の生活の安定を目的としており、一定の条件を満たすことで、最大6000万円まで非課税で贈与することが可能です。

(イ) 特定贈与信託の仕組み

@ 目的

障害者が将来にわたって安心して暮らせるよう、生活費や医療費を安定的に提供することを目的としています。

A信託の構造

委託者(主に親族)が、受託者(信託銀行等)に財産を預け、受益者(障害者)に対して、信託契約に基づき定期的に給付を行う仕組みです。

B 非課税限度額

特別障害者(重度の障害):6000万円

特定障害者(中・軽度の障害):3000万円

C 非課税適用の手続き

「障害者非課税信託申告書」を信託会社を通じて、所轄税務署に提出する必要があります。

(ウ) 特定贈与信託のメリット

贈与税の軽減:非課税枠が大きく、贈与税の負担を抑えられます。

親亡き後も安心:委託者(親)が亡くなった後も、障害者が安定して給付を受けられます。

相続税の節税:信託財産は相続開始7年以内であっても、相続財産に含まれません。